主な登場人物
エリー(Elie)主人公。過去の記憶がいまいち残っていない、恐らくエルフないしハーフエルフの女性。
エールリング・ヴェンデリン・アル・グウィネシル(Erling Vendelin al Gwynethil)
というエルフ語の長々しい名前はあるが、他種族にとってはあまりに長く覚えにくいため、
通常は単に「エリー」と略して呼ばれる。本人も愛称のほうを気に入っているようだ。
労働者たちの寄り合い所の物置めいた個室に住み、他の住人たちの食事を準備したり、
雑用を手伝ったりしながら暮らしている。エルフらしい容姿のわりに魔法は使えない。
信じているものは「神様」。 髪はモスグリーン■、目はブルー■。
ミヒャエル・ハイニ・アイヒェンドルフ(Michael Heini Eichendorff)
元「帝国」軍人の青年。階級は少尉で、「少尉殿」と呼ばれない限り返事をしない。
空軍に所属していた当時は、その端麗な容姿から広告塔の役目も果たしていた。
パイロットとしての腕は一流だったが、双子の弟コルネールには僅かに及ばず、
また自身が精魂を注いでいる航空機の設計については、軍から顧みられることもなかった。
自分が設計した航空機に絶対的な自信を持っており、技師たちとはしばしば衝突する。
とりわけアンナとは設計思想の違いから犬猿の仲であり、日頃から言い争いが絶えない。
信じているものは「自身の才能」と「自分の飛行機」。 髪はライトブロンド■、目はグレー■。
コルネール・アイヒェンドルフ(Kornel Eichendorff)
ミヒャエルの双子の弟で、同じく元「帝国」のパイロット。階級も同じく少尉。
容姿は兄と瓜二つだが、物腰に傲岸さはなく、あどけない印象を抱かせる表情の持ち主。
誰に対しても礼儀正しく、エリーのことも必ず「エリー嬢」と呼ぶ。
軍属時代は空軍を代表するエースの一人で、兄を上回る撃墜スコアを記録していたが、
ある日煙霧病の発作を起こし、静養のために軍を離れて殉教者の丘を訪れることになった。
今でも時々発作が起きるため、酸素吸入用のマスクとボンベが常に自室に置かれている。
信じているものは「兄弟」。 髪はライトブロンド■、目はグレー■。
アンナ・ロマノヴナ・オルロフスカヤ(Anna Romanovna Orlovskaya)
「帝国」北方にある大公国出身の機械技師。共通語を喋りはするが北方訛りが強烈。
自称「ノームとエルフと人間の混血」であり、魔法を使いこなすことができる。
魔法と蒸気機関や様々な科学技術を組み合わせ、新発明を生み出すことに情熱を注ぐ。
エリーが調理に用いる、「94型エーテル駆動式クッキングレンジ」は彼女の設計・製作。
技師だけでなくパイロットでもあり、航空機は設計からテスト飛行まで自分でこなす。
ミヒャエルとは互いに「石頭の帝国軍人」「大公国の蛮人」と呼び合う険悪な仲。
信じているものは「エーテル物理学」と「自分の飛行機」。 髪はブラック■、目はアンバー■。
ドクトル・メデューズ(Docteur Méduse)
殉教者の丘で唯一の医者。長身痩躯で、常に全身を覆う黒革のコートと、
鳥の嘴じみた形のガスマスクを身に着けた、中世のペスト医師の進化系を思わせる風貌。
薬品を用いた実験の影響か、声は酷く嗄れている上に、マスクのせいでくぐもっており、
聞いただけでは年齢や性別は判然とせず、生物であるかも怪しい。機械人形説もある。
長屋の一角に診療室を構え、怪しげな薬や医療用の不気味な生き物を大量に保管している。
住民たちからはヤブ医者扱いされているが、実際に処置を行った患者は一応回復する。
信じているものは「この世に治療できない病はないということ」。
髪の色・目の色ともに見たものはおらず、素の容姿も全くの不詳である。